ホメオパシーによるアプローチは、元々病名対応の対症療法ではなく自然治癒力の促進ですから、他の病気の場合と同様、シミリマム(その「人」に最適なレメディのこと)を探します。
しかし特にガンの人の場合、病気のエネルギーに支配・圧倒されてしまい、本人の生来の特質が覆い尽くされてしまう場合も多くなります。
襲ってくる痛み、死の恐怖、残された家族の心配、仕事のこと・・・等、これらはガンの負のエネルギーであり、自然治癒力を圧倒している状態ですから、ガンの症状=その人の特徴的状態(個性)となっているとも言えます。
こうした時には、局所的な問題も含めて、その時点での心身のエネルギー状態を1つの全体像と観て、それに対応するレメディをシミリマムとしてサポートをすることがあります。
状態が様々に変化することもありますので、頻繁にレメディを変えることもあります。
こうした状態を脱することが出来て、生来の特質が窺い知れるようになった時点で、「本来のシミリマム」による治癒を目指すことになります。
ホメオパシー的にはガンは慢性病であり、心も含めた全身疾患の状態ですが、同時にその人は急性疾患状態にもあるのです。
もちろん、ご本人のご希望がある場合や、ガンのエネルギーに支配・圧倒されていない人の場合やステージの早い段階の場合など、最初からシミリマムを探す作業をして、心身のバランスを整える方向で進めることもあります。
いずれにしても、急性症状的な対応をしながら、シミリマムを探す作業は並行して行います。
そしてホメオパシーによる対応は、単独ではなくホリスティック・アプローチによる戦略に組み込まれるのが理想です。
ホメオパシーによってエネルギー・バランスを整え、食事療法、瞑想、爪もみ、ヨガや気功、局所的には、枇杷葉温灸や里芋パスター等の民間手当療法・・・といった包括的な自助努力により、自然治癒力の賦活を図ります。
インドのDr. Ramakrishnanは、5千以上の癌のケースをホメオパシーのみで治療しているホメオパスです。
彼の手法は、本人が言うようにクラシカル・ホメオパシーです。
具体的な方法は、ここではご紹介しません。
ホメオパシーをちょっと勉強した程度の人が、見よう見まねで取り入れられるものでもなく、難しいプロトコルです(実践してみないと、その難しさが分かりません)。
考え方としては、局所的な問題にまずフォーカスし、その時点でのクライアントのエネルギー状態や心理状態とを合わせて1つの全体像と観て、それに対応するレメディを比較的頻繁に投与するというものです。
彼は、豊富な臨床経験を元に、自らの手法を改善し、現在の手法に至っています。
その中には、彼自身の妹さんや、お兄さんをガンで亡くされたという経験もあるようです。
個人で5千件以上のガンのケースを取り扱うというのも、インドならではでしょう。
インドは、人口面で、世界で最もホメオパシーが盛んな国であり、また高く評価されているのです。
私はこの手法について、世界的に著名なホメオパスであるMisha Norland氏と話をする機会がありました。
実は当時、私自身の再発らしき状態に、この手法で取り組み、良くなっていた時だったのです。
Mishaは、この手法を使った後、シミリマムが必要なのだ、と言いました。
私も自分の体験から、Mishaの見識は正しいと感じています。
ホメオパシーで対応するなら、このメソッドを最初に持って来た方が良い場合が多いと考えます。
ガンの場合、腫瘍の成長や転移との競争であることが多くなります。
また、そのことが、クライアントの心理面にも暗い影を落とします。
クラシカル・ホメオパシーでも他の学派でも、通常の「Wait & See」というやり方は、心理的にもガンの人のケアとして適さないと私は考えます。
Dr. Ramakrishnanも同じような見解に基づいて、この手法を編み出しました。
私自身元ガン患者ですから、「待たされる」心理的プレッシャーについては良く分かるつもりです。
治療成績はどうなのでしょう?
部位によってバラつきがあるようですが、おしなべて高い成績を挙げていると言えるでしょう。
例を挙げますと、
- 乳ガンでは、380件の内、治癒の見込みがあると判断された人が150人。その内5年以上生存者が120人。
- 脳腫瘍では、以下同様に、250件の内、治癒可能100人。その内5年以上70人。
- 肺ガンでは、90件の内、治癒可能26人。その内5年以上15人。
- 肝臓ガンでは、312件の内、治癒可能62人。その内5年以上20人。
- 膵臓ガンでは、98件の内、治癒可能56人。その内5年以上42人。
- 卵巣ガンでは、95件の内、治癒可能35人。その内5年以上24人。
- 前立腺ガンでは、150件の内、治癒可能90人。その内5年以上72人。
(「
A Homoeopathic Approach to Cancer
」Catherine R. Coulter and A.U. Ramakrishnan著 Ninth House Publishing, 2001より)
ここでいう治癒が期待出来ない人(No expectation of cure)というのは、
彼の所に来た時には、あまりにも進行していた状態の人たちです。
成績が低いと思われますか?
Dr. Ramakrishnanがホメオパシーのみでこれだけの成績を残していることを良く考えてみてください。
巷に溢れる侵襲的な治療ではないのです!
Dr. Ramakrishnanは、ホメオパシーによる治療を希望する患者さんの多くは、既にステージのかなり進んだ状態で来ており、現代医学の治療で消耗し切っていると述べています。
また、良い結果が得られなかったケースの原因として、
- 指示に従わなかった(Noncompliance)、つまり指示通りレメディを飲まなかった
- 食事を改善しなかった
- ライフスタイルを改善しなかった
等を挙げています。
結局は、ホメオパシーによる治癒というものがどういうものなのかを理解しなかったことを、可能性として挙げられるとしています。
それから、治癒の見込みがないと判断された人でも、治癒した人がいるようですが、そういった人は、上記の5年生存率には入っていません。
(治癒が期待出来ないと判断された人にも、緩和ケアとして、彼のメソッドを使うことが出来るのです。そうした中で、治癒した人がいるということです。)
Dr. Ramakrishnanは、過去10年間で3千件以上の長期生存者のケースがあり、特に早期の乳ガンと前立腺ガンでは、80%近い治癒率を挙げていると述べています。
(
Dr. Ramakrishnanホームページ
より)
このようにホメオパシーによって、少なからず良い結果が得られる人がいるということなのです。
特記すべきは、 Dr. Ramakrishnanが述べている、食事やライフスタイルの改善は必要だということです。
これは結局、ホリスティック・アプローチが必要だったという事と同じです。
そして彼の言う「ホメオパシーによる治癒というものを理解しなかった」というのは、自然治癒力への氣付きが足りなかったということなのです。
また、この手法は、化学療法と放射線療法の最中には併用出来ないとされています。
レメディの効果がキャンセルされてしまうからです。
これらのプロトコルが終わってからであれば、始める事が出来ます。
他の伝統医療や代替医療の併用については、整体、指圧、レイキ等の、いわゆる手技療法を薦めています。
漢方は、併用は好ましくないようですが、交互に使うのは良く、チベット医学で使うハーブは併用も良いようです。
シュタイナー医学で使う、Iscadorという薬は、併用が可能。
その他の西洋ハーブ療法や、磁気療法、波動療法などは、レメディに干渉する可能性が高いとして、併用は薦められていません。
Ramakrishnanメソッドで、治るという保証がある訳ではありません。
しかし少なくとも、害はありません。抗癌剤のような副作用はありません。
好転反応は、場合によっては出ますが、これは自然治癒力の働きによるもので、薬害ではありません。
絶対に忘れてはいけないのは、ホリスティック・アプローチによるバックアップが必要だという事です。
あくまでホメオパスの立場からですが、ガンの人がホメオパシーを利用することのメリットとデメリットを挙げてみます。
メリット:
- 三大療法の妨げにはならず、現代医学による治療をサポートすることも可能。
- 化学療法や放射線療法は、レメディが自然治癒力に働きかける作用を無効化する可能性がある一方、これらの治療後の回復をサポートすることは可能。
- 他のホリスティック・代替療法との併用が可能。食事療法やヨガ等のエクササイズ、瞑想などは、むしろ併用が望ましい。但し、まだ実証されていないが、併用する療法(中国医学等)によっては、自然治癒力へ働きかける作用を相殺する可能性がある。
- 精神・感情面でもサポートが可能。
- 身体への負担・ダメージが事実上無く、ホメオパシーの導入がQOLの低下に直接影響しない。あるとしたら、単に病状が自然に悪化しているだけ(デメリット)か、一時的な悪化(好転反応)があるだけで、いわゆる薬害等の副作用は無い。
- 抗癌剤治療に比べてコストがはるかに安い。
- モノが食べられない状態でも、レメディを摂取することは出来る。
デメリット:
- ホメオパシーによる癒しや、自助努力についての本人の理解と覚悟がないと、続けることが難しい。
- ホメオパスが少ない(ガンやガンの人と向き合っていこうとする人は特に少ない)
- ホメオパシーが良く認知されていないため、併用する際、家族の理解を得にくい。
- 入院している間は、サポートが難しい。
- エネルギー・バランスや自然治癒力を賦活するのが目的であるため、ガンは治らないかもしれない(が、生活の質=QOLの低下に直接影響しない)
- 民間・代替療法全般に言えることであるが、現代医学の医師による理解が得られず、サポートを受けられなかったり、見放されたりすることが想定される。

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