センセーション・メソッド入門③ of SAM ホメオパシー コンサルティング

  キングダム(ファミリー)・アプローチの始まり

ホメオパシー創始者ハーネマンの時代(約200年前)に比べると、利用されているレメディは、近年、飛躍的に増えています。

医学や科学の進歩や環境の変化などに伴い、人間の健康状態や認識される病気の種類も多様化し、ホメオパシー利用者も増加して来ました。
こうした変化に対応し、より効果的な治療、より深い癒しを得るために、より多種類のレメディが必要になってきたのです。

実は、ケースは非常に良く取れて全体像が明確になった、または患者のヴァイタル・センセーションが美しく描き出されたのに、レメディが分からない、あるいは該当すると思われるレメディがレメディとしてラインアップされていないという事が、ホメオパス側では起きる事もあるのです。

これは、その患者の助けになるレメディが無いという意味ではありません。
ヴァイタル・センセーションがピッタリと合うレメディでなくても、傍目には、凄い効果があったり、大部分が改善される場合も多いのです。
しかし、より深い癒しを得ようとする時、「まさに、こんなレメディなのだ!」というものを、ホメオパス達は常に探し続けているわけです。

そうした時、ホメオパスには幾つかの選択肢があるわけですが、中には、これまで全く知られていなかった(使われたことの無い)レメディや、レメディとして存在するものの、その作用の一部しか知られておらず、特定の状態(急性症状など)のみに緊急避難的、一時しのぎ的に使われるレメディを、積極的に使って行こうというホメオパスがいるのです。

もちろん、「新しいレメディ」「知られていないレメディ」を、単なる当てずっぽうで使うことは出来ません。

では新しいレメディをどうやって開拓すればいいでしょう?
どうしたら、その秘められたヒーリング・パワーを知ることが出来るのでしょう?

少なくとも、処方するに足る合理的な基準や類推が必要になります。
レメディは化学薬品とは違い、元々我々の身の回りにあるものを利用しています。
従って、目的に合わせて合成されるのではなく、「そこにあるものが、どんな癒しの力を持っているか?」を探らなければなりません。

そこで、そのための「地図」として注目されたのがキングダム、またはファミリーだったのです。

レメディに使われる物質は、大きく、鉱物、植物、動物に分類され、これらをキングダム(Kingdom)と呼んでいます。

更に同じキングダム内で、多数のグループに分類されます。
生物などの分類で使われる「科」「目」などです。
これらをファミリー(Family)、またはサブ・キングダム(Sub-kingdom)と呼んでいます。

そして、各ファミリーに属する個々の存在は、ソース(Source)です。

同じキングダムに属するものは、そのキングダム特有の類似点があり、同じファミリーに属するものは、更に特有の類似点があります。
この類似点を地図として、知られていないレメディがどのようなものかを探り、臨床においてその特徴(効果)を確認して発展して来たのが、キングダム・アプローチです。

▲ ページ・メニューへ

  Jan Scholtenの鉱物レメディへのアプローチ

キングダム・アプローチの先駆者が、オランダのJan Scholten(ヤン・ショルテン)です。
彼は、元素周期表の配列から、そこに並んでいる元素の特徴を人間の成長・進化に見立てて分析しました。

元々、鉱物のレメディはたくさんあります。
当然ながら、鉱物は元素の組み合わせです。(もっと言いますと、全てのものは元素から出来ていますが・・・)
元素は、陽子と中性子と電子の数によってその性質が変わり、それらの数の増加に伴って元素周期表に割り当てられています。
周期表はまた、それぞれの元素がどの位置にあるかで、その性質を表します。

例えば、周期表の3行目で隣同士にあるNatrum(ナトリウム)とMagnesium(マグネシウム)は原子番号が1つ違う、つまり陽子と電子の数が1つ違うだけです。
Natrumの真下に位置するKalium(カリウム)とは原子番号は随分違うものの、原子価が同じであり、共にアルカリ金属という特性を共有します。
これらは、お互いに性質が似ており、レメディとしての特徴を共有すると考えます。

実際、これらの元素を含むレメディ(Natrum-mur, Magnesium-mur, Kalium-murなど)は、似た部分があります。

また面白いことに、元素周期表上の行が異なるNatrumとNeon(ネオン)は、原子番号が1つしか違わないものの、その性質は劇的に違います。
(それぞれ周期表の両端に位置し、原子価が大きく違いますね)

Scholtenは、この元素の周期性に基づいて、周期表の列ごと、行ごとにある特徴があり、周期表上で隣り合った元素同士も似たような特徴を備えていると考えたのでした。
彼は、このアイデアに基づいて、鉱物レメディの理論を確立し、臨床に応用して、その有効性を実証しています。

これは、未知のレメディを類推する画期的な理論として、多くのホメオパスに歓迎され、彼の業績をキッカケに、新しいレメディを積極的に開拓しようとする人が増えて来たのです。

▲ ページ・メニューへ

  SankaranとMangialavoriのアプローチ

Jan Scholtenは、鉱物レメディの理論を打ち立てましたが、Rajan Sankaranは、植物についての包括的なアプローチを開発しました。

Sankaranは、同じファミリーに属する植物のレメディは、共通するセンセーションを持っていることを見い出し、(同じファミリー内の)それぞれのレメディの特徴は、基本的にマヤズムの違いによって異なるという理論を確立しました。
まさにScholtenが周期表でレメディの関係性を明らかにしたように、植物レメディのチャートを作成したのです。

別の所で説明しますが、Sankaranのマヤズムは、ハーネマン由来のマヤズムとは異なるコンセプトです。
彼は、マヤズムという概念を導入していますが、いわゆるマヤズム治療というのは、センセーション・メソッドにはありません。

もう一人、イタリアのMassimo Mangialavoriも、独自のファミリー・アプローチを確立しています。
彼は、生物学上の分類などには囚われず、同じ特徴を共有するレメディを1つのファミリーとして分類しています。

例えば、Silicea-like remedies(シリカに似たレメディ)という分類には、Bamb-a、Equisといった植物が入っていますし、Sea-remedies(海のレメディ)には、海に由来する動物だけでなく、鉱物、植物も入っています。

従って、Mangialavoriの方法では、「3つの大きなキングダム」という考えは薄くなり、より細分化された「ファミリー・アプローチ」と言うべきものとなっています。

3人それぞれ、少しずつアプローチが異なりますが、彼らの業績により、より多くの知られていないレメディ(unknown remedy)や、全貌が不明だったレメディ(small remedy)が臨床で使われる機会が増え、我々のマテリア・メディカのコンテンツも充実することとなったのです。

▲ ページ・メニューへ

  キングダムの分類

キングダムの分類の仕方は、ホメオパスや学派によって微妙に異なります。
センセーション・メソッドでは、キングダムは以下のように分類されています。

  1. 鉱物(ミネラル・Mineral)
  2. 植物(プラント・Plant)
  3. 動物(アニマル・Animal)
  4. ノソード(Nosode)
  5. サーコード(Sarcode)
  6. 不可量物(インパンダラブル・Imponderables)

ノソードとは、病気の組織や分泌物から作られたレメディで、サーコードとは、正常(健康)な組織から作られたものです。
不可量物とは、「形のないもの」ないしは振動エネルギーの形で存在するもので、X-ray(X線)、Sol(太陽光)、Positronium(ポジトロン・陽電子)などです。

各キングダムに属するレメディは、そのキングダムとしての特徴を共有します。
しかし、この分類が絶対的で固定的なものではありません。
1つの「地図」なのであって、様々なバリエーションがあり得ます。

レメディは、上記の分類に収まりきらないものもありますし、横断的に複数のキングダムにまたがる様なレメディもあります。

例えば、Carbo veg(カーボ・ヴェジ)というレメディは、樺の木を炭にしたものです。
炭素と考えれば鉱物レメディと言う事も出来ますが、元の材料は植物です。

アメリカのRoger Morrisonというホメオパスは、Carbon(炭素)が、様々なものに含まれる事に注目して、有機体炭素を含むレメディについての研究を行い、その特徴を見い出しました。
これは、レメディ理解のために、キングダム横断的な特徴という切り口がある事を示しているわけです。
(彼は、センセーション・メソッドをSankaranから学んでいます)
キングダム横断的な「ファミリー」と言うことも出来るでしょう。

▲ ページ・メニューへ

  サブ・キングダム(Sub-kingdom)とソース(Source)

キングダムは更に、サブ・キングダムへと分類され、そしてソース(レメディ)となります。
サブ・キングダムは、ファミリーのことです。

植物の場合は、

  1. Kingdom: Plant(植物)
  2. Subkingdom: Solanaceae(ナス科)
  3. Source (remedy): Stramonium(ストラモニウム)

動物の場合は、

  1. Kingdom: Animal(動物)
  2. Subkingdom: Reptiles(爬虫類)
  3. Source: Lach(ラケシス)

鉱物の場合は、少々この分類には馴染みにくくなりますが、

  1. Kingdom: Mineral(鉱物)
  2. Subkingdom: Row 3(周期律表第3行)&Column 10(周期律表第10列)
  3. Source: Silicea(シリカ)

Calc fluor(フッ化カルシウム)の様に、複数の行と列の要素を持つものもたくさんあります。
Calc(カルシウム)=第4行・第2列、fluorine(フッ素)=第2行・第17列となっています。

▲ ページ・メニューへ

  マヤズム(Miasm)

更に、キングダムに関わらず、各レメディはマヤズム(Miasm)というパターンを持ちます。
Sankaranは、10のマヤズムを定義しました。

  1. Acute(アキュート・急性)
  2. Typhoid(タイフォイド・チフス)
  3. Malaria(マラリア)
  4. Ringworm(リングワーム・白癬)
  5. Psora(ソーラ・乾癬)
  6. Sycosis(サイコーシス・淋病)
  7. Cancer(キャンサー・癌)
  8. Tubercular(テュバーキュラー・結核)
  9. Leprosy(レプロシー・ハンセン病)
  10. Syphilis(シフィリス・梅毒)

殆どが、ノソードに対応していることが分かります。
これらのノソードは、それぞれのマヤズム的特徴を象徴しています。

既に述べたように、センセーション・メソッドで定義するマヤズムは、ハーネマン以来の伝統的なマヤズムとは異なります。
Sankaranによれば、マヤズムはヴァイタル・センセーションと関係の深いものであり、いわば表裏一体のものです。

マヤズムとはセンセーション(What)を、どのように体験するか(How)の程度を示すものです。

別途述べますが、ここではひとまず、マヤズムとはセンセーションの「深さ」を示すものと覚えておいてください。

▲ ページ・メニューへ